ハンコ文化と日本人・印鑑まめ知識

印鑑の材質・動物の牙や角で作る印鑑

 木材や象牙、プラスチックに合金と、今はいろいろな素材のハンコがありますね。こうしたハンコの素材となる物を、「印材」といいます。そうした数々の印材の中でも、昔から現在に至るまで、人気の高い印材というものがあります。それはやはり、天然の自然素材、そのなかでも、象牙や動物の角などで作られた印鑑は高価ですが美しく、人気の高いものです。特に象牙は加工しやすい上に、印鑑として柔らかくもなく、それでいて固すぎないという優れもの。ですが現在はワシントン条約で象牙の輸入が禁止されているため、今は以前輸入されたものの在庫しかありません。そのため、最も良い芯持部分を使った象牙の印鑑は、10万円を超えることも珍しくはありません。本当に良いものは数十万円ということも。
 象牙の他には、カバの牙も人気がある素材です。カバの牙は美しい光沢があり、若干象牙より柔らかなものです。ただ、こちらもワシントン条約で輸入には許可証が必要となっていますから、希少価値の材質です。また、永久凍土から発掘されたマンモスの牙も、象牙の代用品として利用されます。象牙とは違い、輸入はできるものの、そもそも絶対数が少ないため、こちらもかなりの希少価値です。
 注意したいのは、こうした増減などの模造品です。安価なものは、人工的に作られた、象牙風の素材のものもあります。象牙を見る機会があまりなければ、見分けが付きませんし、比較的安価なのですが、あまり人気はないようです。象牙として販売している事もありますので、安く質のいいものを求めるのであれば、最初から人工象牙を選らんだ方が無難です。

 また、角を利用する場合は、オランダ水牛と黒水牛が人気です。どちらもやはり、芯持が高級とされ、質の良いものほど高価です。オランダ水牛はキャラメル色とクリーム色が交じり合った色のものが多いのですが、稀に白に近いクリーム色、でキャラメル色が混じらないものがあります。こうしたオランダ水牛は純白と呼ばれ珍重されます。黒水牛はツヤのある黒い素材で、加工もしやすく印鑑として適度な固さを持っていますが、時々手入れをしないとひび割れてしまいます。そのため、黒水牛より固く、ひび割れもしにくいオランダ水牛のほうがお値段は高めです。 シープホーン、つまりは羊の角出作った印鑑もあります。生きている羊を見ると、固そうな角に見えますが、これを磨き上げると透明感のある美しいあめ色になります。牛の角よりは柔らかいのですが、見た目がとにかく美しいので最近人気の素材です。