ハンコ文化と日本人・印鑑まめ知識

印鑑の材質・石で作る印鑑

 貴石や半貴石を用いて作られる印鑑とは別に、掘りやすい素材で作られた石の印鑑が存在します。これらは実用印目的ではなく、私印として用いられることが多く、使うよりも篆刻を趣味とする人などが、造ることそのものを目的としたものが大半です。主に落款印として使われることが多く、実用的なものではありません。
 篆刻用に良く使われる石は、青田石、寿山石、巴林石などでしょうか。いろいろ種類がありますので、ちょっと詳しく見ていきましょう。

●青田石
 中国の浙江省青田県で採れる石です。初心者用の篆刻セットなどではたいていこの石が入っています。色は薄いグリーン。多少割れやすいのですが、入手が用意で値段もかなり安いので、初めての人にはやはりおススメです。

●寿山石
 中国、福建省で採れる石です。色々な色がありますが、石の透明感もさまざまです。篆刻だけでなく彫刻にも良く使われていて、置物などもたくさん販売されています。石の質によって、値段がかなり異なる石で、安価なものは100円で買えますが、田黄と呼ばれる黄色い石は50万や100万で売られています。田黄として安く購入できるものは偽ものも多く出回っています。

●巴林石
 中国、モンゴル自治区で採れる石です。乳白色、グレー、ブルー、イエロー、オレンジ、レッドと様々な色があります。色味も楽しめるので、キレイな石を見つけたら買って損はないかもしれません。

●昌化石
 中国の浙江省で採れる石です。あざやかな血のような色が入っているので、鶏血石とも呼ばれます。とはいえ、全ての昌化石に赤みが入っているわけではなく、イエローやブルーのものもあります。キレイに赤が入っていると、かなりの高額になります。固いので、女性には彫りにくいかもしれません。

 もちろん他にも色々な石があり、篆刻用の石は値段もピンきりです。実際に彫った印影よりも石を重視して選ぶ人もいるほど、石の印材は奥が深いものになっています。
 石を印材とした篆刻は、石を選ぶ楽しさ、ものを作る楽しさも味わえますから、趣味にむいているのです。ただ、奥深い分はまりやすい人も多く、良い石に出会うため、わざわざ現地に行って購入する人もいます。結果、人気のある石はどんどん値段が上がっていき、入手できなくなることもあります。