ハンコ文化と日本人・印鑑まめ知識

印鑑の種類・落款印とは

 落款とは、落成款識の略です。落成は、完成しましたという意味で、款識は署名やサインという意味です。落款印を押すという事は、落成と款識を二つ合わせて、「私が作ったものは、これで完成」、もしくはこれを完成させたのは私です」という事になります。
 ですが、落款印はサインという意味よりも、書画を引き立てるためのものとしての側面が大きく、必ずこの形式でなければいけないという決まりもありません。もともと書画の場合は、引首印、姓名印、雅号印の3つで正式とされていますが、見栄えや引き立て役としての意味合いが高くなり、形式にはこだわらなくなったのです。
 落款印は石で作られる事が多いのですが、これは石の割れやかすれなども趣のあるものとして逆に好まれるからです。ですから、落款印そのものが書画を引き立てるのに十分なものであれば、別に石でなくとも構わないのです。石は割れやすいので、木材で彫ってもいいですよ。多少表面に凹凸があれば、かすれも表現できます。もちろん美術品の真贋を見分けるためにも、この落款印は重要な位置付けとなっていますから、あなたが芸術家であれば偽造しにくい、変形しにくいものを使ったほうがいいかも知れません。
 自分のオリジナルの落款印を作るには、普通のはんこ屋さんで作ってくれるところもありますし、手彫り篆刻のお店に頼んでももちろんOKです。ですがもちろん、自分で作ることも十分可能なのです。篆刻というのは、印章、つまりはハンコを作る事です。篆刻というと石に彫るというイメージが強いので、簡単には作れないのでは? と思うかも知れませんが、篆刻には彫りやすくて柔らかい石が使われます。むしろ柔らかく彫りやすい石があったから、篆刻は発展したのです。最初篆刻用の道具が一式入った、初心者用のセットを購入するとお手軽です。セットを一つ購入すれば、石だけでなく、彫刻刀や印床など一通りそろえることができますから、また作りたくなった時には、次に石を購入すればいいだけです。書道用品を扱っているお店なら、たいていセットを販売していますので、興味があれば覗いてみてください。大きな書道用品店なら、石もかなり豊富に揃っていますから、好みの色や形を選んで作ることもできます。