ハンコ文化と日本人・印鑑まめ知識

印鑑の種類・実印とは

 実印とは、印鑑証明書がとれる印鑑のことを指します。実印が必要になるのは、主に公正証書の作成や、大きなお金のやり取りのときです。実際に実印が必要になってから準備する人も多いようです。
 この実印は、印鑑を作っただけでは実印にはなりません。実印を求められる場合、同時に印鑑証明書を求められる事がほとんどです。そして印鑑証明書を取るには印鑑登録が必要になります。この、「印鑑登録した印鑑」が実印です。実印として販売されている印鑑を購入しても、登録しない限り実印ではありません。高額で立派な印鑑を作り、それが実印のつもりでいても登録していなければ意味がありませんし、100円で購入した印鑑でも登録さえすれば実印になるのです。
 それでは登録できる印鑑に、なにか制限はあるのでしょうか。印鑑登録できるものは、手彫りのものが基本です。ゴム印やシャチハタは当然登録できません。ゴム印は柔らかく変形しやすい上に、劣化しやすいものです。シャチハタは、朱肉による押印ではなく、印そのものが経年劣化しやすい事も理由です。
 では既製のはんこはどうでしょう。実は、同じ形のものが出回っている安いはんこであっても、実印登録できる市町村もあります。ただ、機械で作ったはんこは、受け付けてくれない役所が多いので、最初からすべて手仕上げの印鑑とはいかなくとも、手彫り仕上げくらいの品の方が無難です。もちろん機械彫りに比べて安全だという事もありま。ちなみに手彫り仕上げというのは、大まかに機械で掘って、仕上げのみを手彫りにした印鑑です。一応人の手が入りますから、全く同じ印鑑がある危険は低くなっています。100円ショップなどのはんこは、同じ形にものが数多く出回っていますから、三文判と割り切って認印レベルで使うべきでしょう。
 その他の条件としては、輪郭が大きく欠けていたり、印影がはっきりしていなかったりするものは駄目。また、実印として登録できるのは、自分の戸籍上の本名が彫られたものです。もちろんフルネームでもかまいませんし、姓のみでもかまいません。
 女性の場合は結婚して性が変わる可能性が高いということで、名前で作る方も数多くいらっしゃいます。市町村によっては受け付けてくれない所もありますから、実印として作るのであれば、役所に問い合わせてからの方が無難です。名のみの印鑑も登録してくれるところでは、もちろん、男性であっても名前のみの実印は問題なく登録できます。戸籍上の名前が変わった時、その多くは結婚や離婚による性の変更ですが、その場合、変更前の名前で行った印鑑登録は無効になります。